How the U.S. Encourages STEM Education【邦訳】

“米国ではどのようにSTEM教育を奨励しているのか”

バラク・オバマ前大統領が2009年に「イノベーションのための教育」キャンペーンをローンチしてから10年がたった2018年の12月、今度はドナルド・トランプ大統領がSTEM教育継続のために独自の計画を発表しました。各政党のSTEM教育に対するアプローチは異なることこそあっても、STEM教育が今日の生徒たちにとって重要であるという考えは、驚くほど一致しています。

STEM.orgを創設したAndrew Raupp代表は次のように述べました。「多くの批判があるのは確かですが、各分野間で多くの調整がなされたということです。STEMは治的に中立な数少ないトピックのひとつといえます。 [前略] 重要だというコンセンサスがあるようです。STEMのための基金の一部は民間セクターからきています。調達資金は2億5000万ドル以上にもなり、まさに官民あげてのコラボレーションです。」

オバマ大統領は3つの大きな目標を掲げ、2009年11月に「イノベーションのための教育」キャンペーンを開始しました。具体的には、STEMリテラシーの向上、数学および科学教育の質の改善、過小評価されている層のためのSTEM教育アクセスとキャリアの拡大です。OECDの学習到達度調査(PISA)によると、 当時の米国は数学で14位、科学で12位に位置していました。オバマ前政権は、米国の生徒がSTEMコースで抜きん出るよう奨励することで、「まんなか」からトップに躍り出ることを目指しました。

2013年4月の第3回ホワイトハウス・サイエンスフェアで、オバマ大統領(当時)は次のように述べました。「大統領として私が注力してきたことのひとつは、科学、テクノロジー、工学、数学への『全員集合』的アプローチをどのように作りだすか、です。関連分野の教師を多数養成し、私たちが一団となってふさわしい敬意を払いつつ、これらの科目を確実に高めていく必要があります。」

「イノベーションのための教育」は、優秀な生徒を生み出すのに、政府がどのような支援をできるのかに焦点を当てただけではありません。The Obama White House Archiveは、「当該キャンペーンには連邦政府だけでなく、大統領の『全員集合』の呼びかけに応えんとする大手企業や財団、非営利団体、科学技術界の努力も含まれる」と報告しています。いわば、民間企業も成長しているSTEM教育市場に参加するよう呼びかけがあったのです。キャンペーン期間中、7億ドル超にもなる官民パートナーシップが結ばれ、100人以上のCEOが協力を求められました。また、今後10年間で10万人のSTEM教師を新たに育成することを目標に定め、その重要性が強調されました。

アーカイブによると、2010年9月には私設の学校プログラムの設置を通して、「米国におけるSTEM教育の質を向上させるためにビジネス界を動員する」という目標を掲げた非営利団体「Change the Equation」の立ち上げによって、キャンペーンが一層強化されました。Change the Equationは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団およびニューヨークのカーネギー・コーポレーションの支援を受けた宇宙飛行士のSally Ride氏、元インテル会長のCraig Barrett氏、ゼロックス社CEOのUrsula Burns氏、タイムワーナーケーブル社CEOのGlenn Britt氏、コダック社CEOのAntonio Perez氏によって設立されました。

 トランプ政権になった後でも、STEM教育は米国全土で党派を超えた共通のトピックでした。2017年9月にホワイトハウスは、質の高い科学、テクノロジー、工学、数学(STEM)およびコンピュータサイエンス系教育へのアクセスを幼稚園から高等教育までの生徒のために拡大する旨の覚書に、トランプ大統領が署名したと報告しています。覚書は、将来的に安定した仕事につけるというSTEMの重要点を強調しつつ、学校でのSTEM教育に年間2億ドルの助成金を求めるものです。トランプ大統領は「我々は、明日の職場における成功への道を子どもたちに与える一助となるだろう」と述べました。

トランプ政権はそれから1年以上STEM教育計画を発表しませんでした。が、2018年12月、「成功への道筋:米国のSTEM教育戦略」という報告書を発表。次の5カ年計画の概要を示しました。US Newsは、「政権のゴールには3つの要素がある。すべての米国人が技術的変化に対応できるよう、計算的な思考といった基本的STEM概念を習得すること、歴史的に恵まれない生徒のためにSTEM教育へのアクセスを拡大すること、そして、生徒にSTEM系キャリアの追求を奨励すること」と報じています。

        またEducation Diveによると、この戦略は次の4つの方法で成り立っています。つまり、教育機関および雇用主/地域社会の戦略的パートナーシップの構築、イノベーションを促す学際的な活動へ生徒が参加するよう奨励、計算的なリテラシーの教育、透明性および説明責任を伴う運用です。これにはSTEM系インターンや実習生の機会拡大、STEM教育者の採用と支援、STEMカリキュラム資料の共有、および僻地に住む生徒のための遠隔学習支援も含まれます。

ホワイトハウスの報告書には、「すべての米国人が質の高いSTEM教育を生涯にわたって受けられるようになり、米国はSTEMリテラシー、イノベーション、雇用において世界のリーダーとなる」と書かれています。 前政権と同様に、STEM教育において世界でどの位置にいるのかが憂慮しているようです。また、幼いうちのSTEM教育の開始にも、引き続き焦点が当てられています。STEMを小学校や中学校など早期に取り入れることで、そのコンセプトをもっとも効果的に学ぶことができるといいます。なぜなら、キャリアにおける技術的な訓練、 高度な大学および大学院レベルの勉強、そして職場での技術スキルの向上にとって、欠くことのできない前提条件だからです。米国人の全般的なデジタルリテラシーの向上とSTEM系労働力の増強は、必然的に米系STEM企業全体を巻き込むことになるだろうと、ホワイトハウスの報告書にはあります。

        しかし、米国におけるSTEM教育は政府に限られたことではありません。前述のように、両政権とも官民の連携を要請しています。このようなコラボレーションのひとつがCommittee on STEM Education (CoSTEM)。CoSTEMは、米教育省を含む13の機関で構成されるオバマ前大統領時代の委員会です。 幼稚園から高校までのSTEM教育への連邦助成金の運用に焦点を当て、若者のSTEM参加の拡大、学部生のSTEMエクスペリエンスの向上、STEM分野の人口統計、およびSTEM系職場に向けた大学院教育の向上を目指しています。

        STEM教育に向けた取り組みを行っている独立系団体も、地方や国レベルで数多くあります。たとえばSTEM.orgはグローバルなSTEM教育に焦点を当てた団体です。 当該ウェブサイトの創設者Andrew Raupp氏は次のように述べています。 「この10年ほどで大きな変化を遂げました。私たちにとって本当に重要なのは[中略]、STEM教育の民主化です。 誰にとっても手頃で、利用可能なものであるべきです。」この目標はどのように達成できるでしょうか。 氏は続けて次のように述べました。「今後も継続していくのは、私たちのテクノロジーのデジタル化とサポートのための基盤を探し」であり、「STEMの歴史を振り返って理解することが、未来の予測につながります。 」

        米国の教育制度は州によって異なるため、地方団体も各地のコミュニティーで活動しています。 STEM Teachers NYCのChristopher Kennedy氏は、それを「50州で50の異なる計画」と表現しました。彼の団体は、ニューヨーク市のSTEM系教師の養成と教師不足問題の解消に焦点を当てています。もうひとつ彼がおすプログラムは、教室にコンピュータサイエンスを取り入れることを目指す「CS for All」です。

Sources:

https://obamawhitehouse.archives.gov/issues/education/k-12/educate-innovate

https://obamawhitehouse.archives.gov/the-press-office/2010/09/16/president-obama-announce-major-expansion-educate-innovate-campaign-impro

https://obamawhitehouse.archives.gov/the-press-office/president-obama-launches-educate-innovate-campaign-excellence-science-technology-en

https://www.nsf.gov/attachments/117803/public/3a–Change_Equation.pdf

https://www.ed.gov/stem

https://www.whitehouse.gov/articles/president-trump-signs-memorandum-stem-education-funding/

https://www.usnews.com/news/education-news/articles/2018-12-03/white-house-outlines-five-year-stem-push

https://blogs.edweek.org/edweek/campaign-k-12/2018/12/trump-education-STEM-White-House.html

https://www.whitehouse.gov/wp-content/uploads/2018/12/STEM-Education-Strategic-Plan-2018.pdf

https://www.sciencemag.org/news/2018/12/trump-emphasizes-workforce-training-new-vision-stem-education?r3f_986=https://www.google.com/

https://www.educationdive.com/news/white-house-releases-five-year-stem-education-strategy/543540/

https://www.usnews.com/news/articles/2017-09-25/trump-calls-for-200m-a-year-to-boost-stem-in-schools

https://www.whitehouse.gov/articles/america-will-win-global-competition-stem-talent/

https://www.theguardian.com/news/datablog/2010/dec/07/world-education-rankings-maths-science-reading

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